【為替】日米通貨交渉の舞台裏を探る・前編 | 吉田恒の為替デイリー | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

日米首脳会談前後から急に「タカ派」化が目立ち出した日銀

2月7日、石破総理とトランプ米大統領の初会談が行われたが、その数日前、ベッセント米財務長官は加藤財務相、植田日銀総裁という日本の通貨・金融政策トップと相次いでオンライン会談を行った。そして、この頃から日銀の追加利上げへの積極姿勢、つまり「タカ派」化が目立ち始めた。

日本の金融政策を織り込む2年債利回りは日銀が1月の金融政策決定会合で0.5%への政策金利引き上げを決めた後は0.7%前後で推移していたが、1月末頃から大きく上昇に向かい、3月には0.9%近くまで上昇した(図表1参照)。それは、0.5%の政策金利を早期に1%へ引き上げることを織り込む動きと見られた。

【図表1】日本の2年債利回りの推移(2025年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 日銀首脳部の中には、この頃から実際に1%まで政策金利を早期に引き上げようとの考えが浮上し始めていた可能性がある。「世界的に見たら日本の金利は依然としてあまりに低すぎる」との意識が強くなったためだ。そして、そうした考え方に、どうやら通貨政策を担当する財務省も同調していたようだ。

2月末、通貨政策の実質的な責任者である三村財務官は足元の経済を踏まえて、日銀から金融政策の今後の見通しについてメッセージが出てきているとの認識を示した。その上で、メッセージとその背後にあると思われる市場の認識について、自分自身も「基本的に齟齬はない」と述べたと報道された。要するに、早期に1%への利上げを目指す日銀と、それを織り込む金利市場の動きを追認したと解釈できるだろう。

円安是正のための1%への利上げ案=日銀

ここまで見る限りでは、日米首脳会談やベッセント米財務長官と日本の通貨・金融政策トップとの会談の後から、日銀は急に「タカ派」化が目立ち始め、その中で日本の金利は大きく上昇、それを受けた日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小に沿った形で米ドル安・円高が大きく広がり出したと言えるだろう(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日米10年債利回り差(2025年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 普通に考えれば、日銀の急な「タカ派」化、早期に1%への利上げを目指すという方針は、ベッセント米財務長官などトランプ政権からの要請が大きかったということではないか。そして、その目的は米貿易赤字にとって「非関税障壁」と位置付けられる貿易相手国の過度の通貨安是正だったのだろう。

ベッセント米財務長官は4月9日、以下のように発言した。「日本では円高が進行しているが、これは日本経済の強い成長とインフレ期待上昇の結果だ」、「日本銀行は金利を引き上げており、全ては自然なことだ」。

ベッセント米財務長官の対日要請が変わった理由

当時は145円前後まで米ドル安・円高となっていた。これについて、「日本経済の強い成長などを受けた日銀利上げによる自然な結果」との見解を示していたわけだ。ただそれは、これまで見てきたことからすると、自らが描いた結果の自賛のように感じられなくもない。そうした意味では、ここまでは基本的にベッセント米財務長官にとって想定通りだったかもしれない。ただ、この後から想定は少し狂い始めたのではないだろうか。※「後編」に続く(近日公開予定)。

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