【日本株】エヌビディア[NVDA]の好決算で関心高まる半導体「後工程」 | 和島英樹の発掘!注目株 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

より性能を上げるため、複雑化する「後工程」

AI(人工知能)半導体で世界をリードする米エヌビディア[NVDA]の2~4月期決算は、売上高が前年同期比69%増の約441億ドルと、市場予想(433億ドル)を上回る好内容だった。

半導体の製造工程はシリコンウエハに設計図を描いて回路を作る「前工程」と、完成したチップを切り出して回路部分を保護しつつ配線、樹脂でパッケージ(封止)する「後工程」に分けられる。一昔前までは、半導体の性能を決めるのは設計段階を含む「前工程」が重視される傾向にあった。

エヌビディアの先端品である「ブラックウェル」などのAI半導体では、より性能を上げるために後工程でHBM(広帯域メモリ―)というメモリー(記憶)半導体が使われるようになった。従来チップを封止さえすればよかった後工程で、エヌビディアの先端半導体に付随して積層化(3次元に積み重ね)したHBMを隣接する必要性が出てきたのである。工程が複雑化するうえに、後工程が半導体の性能アップに欠かすことができなくなった。

エヌビディア躍進を支えるTSMC[TSM]の生産技術

ところで、エヌビディアは半導体の設計しか行っておらず、実際に作っているのは半導体受託製造世界最大手の台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]である。

TSMCは「CoWoS」(チップ・オン・ウエハ・オン・サブストレート=コワス)という同社独自のパッケージング工程を有している。この技術はシリコンチップを近接して並べることで、チップの実装密度を高めることが可能になる。エヌビディアのAI半導体はHBMで性能を劇的に高めたが、TSMCの生産技術によるものということになる。後工程では日本企業も様々な角度から性能向上に貢献している。

半導体製造「後工程」、日本の関連銘柄をピックアップ

イビデン(4062)

半導体パッケージ基板の世界大手。一昔前はインテル[INTC]向けが柱だったが、現在ではエヌビディア向けの比重が高まっている。エヌビディアの先端品向けでは90%以上のシェアがあるとみられている。決算発表資料ではAIサーバー向け基板の生産負荷(工場や生産ラインが処理できる生産量≒生産キャパ)は、2024年を1.0とすると2027年には2.5倍になるとしている。

サプライズとなったのが同社の2025年3月期の第4四半期(1~3月)決算。2025年3月期通期の営業利益は476億2100万円(前年比0.1%)増だったが、会社計画400憶円(同15.9%減)を超過達成している。1~3月期は127億6400万円で前年同期比20.2%増、前四半期比では2倍強となっている。外資系のアナリストはインテル向けの採算改善とエヌビディア向けの想定上の伸びと指摘していた。需要の回復が顕著となっていることが明らかになった。

【図表1】イビデン(4062):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年6月5日時点)

ディスコ(6146)

半導体の切断、研削、研磨装置で世界首位。シリコンウエハからチップを切り出す以降の装置に強みがある。HBMの製造工程では薄いチップを積層して大容量を実現するためにTSV(シリコン貫通電極)という技術が必要。TSVではチップを薄く削る高性能な装置が必要になる。TSV技術により、データ転送の速度向上、消費電力の削減が可能になる。

【図表2】ディスコ(6146):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年6月5日時点)

アドバンテスト(6857)

半導体検査装置(テスター)の世界大手。記憶用途のDRAM向けでは首位。同社のテストシステムは、ウエハを作る工程の最後と、パッケージなどを施した後の最終工程に用いられる。半導体の高性能化や複雑化に伴い、テスターの重要性が高まっている。なお、エヌビディアは同社の古くからの取引先。

【図表3】アドバンテスト(6857):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年6月5日時点)

レゾナック・ホールディングス(4004)

半導体の後工程材料で世界首位。いずれも世界シェア首位のダイボンディングフィルム、基板の回路を形成するのに使われる感光性フィルム、プリント基板の主原料である銅張積載板などの伸びが期待される。ダイボンディングフィルムは半導体チップ(これを業界用語でダイという)と基板などの接着(ボンディング)に使用されるフィルム状の接着剤のこと。同社はこのほか、半導体デバイスの平坦化に不可欠なCMPスラリー、大型パッケージ基板の回路パターンを保護するソルダーレジストでも世界大手メーカーである。後工程の重要性が増せば増すほど、同社ビジネスにとって追い風になる。

【図表4】レゾナック・ホールディングス(4004):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年6月5日時点)

TOWA(6315)

封止(モールディング)やチップ切断(シンギュレーション)など半導体後工程装置の大手メーカー。封止装置では独自開発のコンプレッションモールド方式(圧縮方式)で世界標準化を目指している。2026年3月期は営業10%増益を見込む。

【図表5】TOWA(6315):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年6月5日時点)

芝浦メカトロニクス(6590)

半導体製造装置メーカー。後工程では2.5世代向け先端パッケージ装置でシェアトップ。生成AI用半導体の需要拡大で数量が伸びている。前工程でもウエハ洗浄装置の需要が増加。2026年3月期は営業減益予想だが、研究開発など成長投資費用負担による影響が強い。下期からの回復を想定。

【図表6】芝浦メカトロニクス(6590):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年6月5日時点)

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